シュリンクレザーとは!?作り方と生産地別の「特徴」が魅力の革財布
近代的な革技法によって創作されている「シュリンクレザー」とは、どんな魅力を有している革なのか?経年変化(エイジング)はあるのか?などシュリンクレザーの特性・特徴及び魅力的なシュリンクレザー仕立ての革財布&革バッグをご紹介したいと思います。
目次
シュリンクレザーとは!?
「シュリンクレザー」というのは、皮表面を収縮加工(シュリンク)することによって作られる革素材の総称です。
主には「牛原皮」を原材料として作られており、欧米各地で様々なシュリンクレザーが創出されています。中でもシュリンクレザーの有名産地となっているのが
・ドイツ(ベリンガー社、ヴァインハイマー社など)
・フランス
です。
個性的なシュリンクレザーとしては、「パイソン原皮」を原材料としてアメリカのタナリーにて創出されている「アメリカパイソン・シュリンクレザー」などがあります。
シュリンクレザーの「作られ方」による種類
シュリンクレザーには、その作られ方(加工方法)による違いにて、下記「2種類」に分類されています。
1)型押し加工によるシュリンクレザー(エンボスシュリンクレザー)
2)薬剤加工によるシュリンクレザー
1)型押し加工によるシュリンクレザー(エンボスシュリンクレザー)
型押し加工(革表面にシボ柄の型を押し当てる)によって、革表面にシボ柄を創出したシュリンクレザーです。
「型押し(エンボス)」の名前を取って「エンボスシュリンクレザー」などと呼ばれることもあります。
最大の特徴が型に定められた「均一なシボ柄(デザイン的に整っている)」が創出されていること。そして型押しの圧力(プレス)によって革表面の「硬さ感(やや硬質な仕上がり感)」となっていることです。
*均一感のあるシボ柄(革表面の模様)
*「やや硬さ」のある手触り感
2)薬剤加工によるシュリンクレザー
特別な薬剤(革の収縮剤)を使用して、革表面を収縮・シボ柄を生み出す手法で作られているシュリンクレザーです。
皮生来のシワ(シボ)が強調される形となることから、シボの形や大きさなどは不均一となるのが特徴。ナチュラル&素朴な革表情となります。
また、エンボスシュリンクレザーと比較すると「少し柔らか」な手触り感が特徴となっています。
*不均一なシボ柄でナチュラル&素朴な革表情に
*「少し柔らか」な手触り感
シュリンクレザーの特徴(メリット・デメリット)と魅力
高級革として知られている「ボックスカーフ」もシュリンクレザーの一種となっています。ただ個性と魅力に違いがあるため一般的には「ボックスカーフ」と「シュリンクレザー」はそれぞれ別種類として語られています。
シュリンクレザーに共通した特徴が
*革表面のシボ柄(シワ模様)
革を収縮加工することによって、革表面にシワが生まれます。このシワのことを「シボ」と呼び、シボの形・大きさ・風合いに個性が表れてきます。
シボの形やサイズは「生産地」「タナリー」ごとに少々個性があります。(それもシュリンクレザーの魅力の一つに)
シュリンクレザーの魅力1:軽量&丈夫な革素材
”シュリンクレザー”は見た目の印象としては「重厚感」を感じるのですが、実際には「軽量」なのが特徴に。
シュリンクレザーは主に牛皮をベースに作られている革。牛革の中では「軽量さ」において上位に位置付けられます。
また、シュリンクレザーに共通した要素として、革表面が収縮(圧縮)されていることから、一般的な牛革と比較して、キズが付きにくく、革表面の強度が高いのが革に。
*軽量&強度が高い(丈夫)
特に「バッグ(鞄)」として重宝される革素材となっています。
シュリンクレザーの魅力2:実用性(機能性)の高い革
シュリンクレザーは革表面のシボ柄の効果にて、キズや汚れが付いたとしても目立ちにくいといった特性を有しています。
シュリンクレザーで仕立てられた革製品は先ほど記した「軽量さ」「丈夫さ」と併せ、とても実用性の高い(機能性の高い)革財布・革バッグとなっています。
シュリンクレザーの魅力3:日常的なお手入れ不要の耐久性
革素材というと、「日常のお手入れ」が気になる方もいるかと思いますが、”シュリンクレザー”は、日常的なお手入れはほとんど不要と言えます。
*革表面がキズ付きにくいこと
*キズが付いても”シボ”により目立たないこと
*シュリンク加工により圧縮された革は、水が浸み込みにくいこと
などの特徴があるから。
革素材は共通して「水の付着に弱い(水しみが付きやすい)」という特性を有していますが、そんな革素材の中で、シュリンクレザーは「水しみが生じにくい革」に位置付けられます。
シュリンクレザーで作られた革製品(財布・カバンなど)は気軽に活用できるのが魅力となります。
シュリンクレザーの魅力4:新品時の風合いが保たれる革(経年変化に乏しい)
シュリンクレザーは近代的な革技法によって作られている革。収縮加工(シュリンク)にて革表面が凹凸のあるシボに覆われています。
それゆえに、一般的なベジタブルタンニンレザーやオイルレザーなどと比較すると「経年変化に乏しく」「皮本来の風合いに乏しい」といった特徴があります。(これをデメリットとして表現されていることもありますが、あくまでも個性の一つです)
原皮(牛皮、馬皮など)の風情・魅力を楽しみたいといった方にとっては、物足りない革となるかもしれません。
ただし、逆の視点から捉えるとシュリンクレザーは
*新品時の革風情・色合いが保たれやすい革(革財布)
となります。
ドイツ産シュリンクレザーの魅力
シュリンクレザーの最も人気の革産地がドイツです。ドイツには「ペリンガー社」や「ヴァインハイマー社」などシュリンクレザーを専門的に取り扱っている名門タナリーが複数存在しています。
同じタナリーの中でも、異なるシュリンクレザーが開発・生産されています。ドイツ・シュリンクレザーは多彩さが魅力のひとつとなっています。
ドイツ産シュリンクレザーに共通した魅力が
*発色の美しさ
です。
”色彩の種類”も豊富で自分好みの「色」を見つけられるのもドイツ産シュリンクレザーの魅力となっています。
ペリンガー社の代表的なシュリンクレザーが「シュランケンカーフ」です。下記記事にてシュランケンカーフの特徴・魅力及び革財布をご紹介していますので、ご参照いただければと思います。
●シュランケンカーフとは!?美しい発色のドイツ製ボックスカーフ革財布
ここでは、もう一つのドイツの名門タナリー「WEINHEIMER/ヴァインハイマー社」が創出しているシュリンクレザー「エスポワール(ESPOIR)」を使用、日本の革職人が仕立てた革製品(革財布など)をご紹介しておきたいと思います。ご参考に。
SAHO PLAIN
●ブランド:NAGATANI
●デザイン:ラウンドファスナー長財布
●素材:キップシュリンクレザー(エスポワール)
●色彩:ブラック、ベージュ、テラコッタ
BONNY
●ブランド:NAGATANI
●デザイン:ラウンドファスナー折り財布
●素材:キップシュリンクレザー(エスポワール)
●色彩:ブラック、キャメル、ベージュ、シアン、マロン他
BONHEUR
●ブランド:NAGATANI
●デザイン:三つ折り財布(ミニウォレット)
●素材:キップシュリンクレザー(エスポワール)
●色彩:ブラック、ミモザ、コバルトブルー、オレンジ他
GIULIA
●ブランド:NAGATANI
●デザイン:2WAYショルダーバッグ
●素材:キップシュリンクレザー(エスポワール)
●色彩:OCEANO、FERRO、OLMO
●サイズ:縦19.5cm×横21.5cm×底厚14cm
フランス産シュリンクレザーの魅力
”フランス・シュリンクレザー”は、シボ(革表面の側)の「凹凸」がやや深め。革表情の個性がはっきりと伝わる・・そんな特徴があります。
凹凸柄の他にも革の収縮に伴う「線状」柄も魅力(個性)の一要素に。色彩に関しても、どちらかといえば「深みのある色合い(マットな風合い)」が魅力となっています。
マットシュリンク・オールアロング
●ブランド:COCOMEISTER
●デザイン:ラウンドファスナー長財布
●素材:フランス・シュリンクレザー
●色彩:ネロ、ブルマリーノ、マッローネ、ロッソヴィーノ
マットシュリンク・ヴェルソ
●ブランド:COCOMEISTER
●デザイン:ラウンドファスナー長財布
●素材:フランス・シュリンクレザー
●色彩:ネロ、ブルマリーノ、マッローネ、ロッソヴィーノ
マットシュリンク・カムラッド
●ブランド:COCOMEISTER
●デザイン:コンバスト財布
●素材:フランス・シュリンクレザー
●色彩:ネロ、ブルマリーノ、マッローネ、ロッソヴィーノ
マットシュリンク・バックパック
●ブランド:COCOMEISTER
●デザイン:バックパック
●素材:フランス・シュリンクレザー
●色彩:ネロ、ブルマリーノ、マッローネ、ロッソヴィーノ
●サイズ:縦43cm×底幅34.5cm×底厚14cm
マットシュリンク・ボストンダレス
●ブランド:COCOMEISTER
●デザイン:ボストンバッグ
●素材:フランス・シュリンクレザー
●色彩:ネロ、ブルマリーノ、マッローネ、ロッソヴィーノ
●サイズ:縦31cm×横43.5cm×底厚16cm
まとめ
現在主流のシュリンクレザーは「ドイツ・シュリンクレザー」と「フランス・シュリンクレザー」に分類することができます。ドイツ・シュリンクレザーは「発色の美しさ」が、フランス・シュリンクレザーは「マットな風合い」が特徴となっています。
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